造影剤腎症を発症した症例のL-FABPの変動
(文献[1]内、Nakamura, T. et al., Am J Kidney Dis. 47(3), 2006.内Table2より改変)
方法:
心臓カテーテル術を受けた成人66例に対し、冠動脈造影前後の尿中L-FABPを測定しCIN群、非CIN群の尿中L-FABPの変動を比較した。
※AKI患者、末期腎不全患者などは対象から除く
結果考察:
造影剤投与前から尿中L-FABPが高い患者では造影剤腎症の発症リスクが高く、造影剤腎症を発症した患者では24時間後の尿中L-FABPが有意に上昇した。
造影剤投与前に尿中L-FABPを測定することは、造影剤腎症の発症予測に有用である。
半定量スコアはELISA定量値を精度よく反映※
※:スコア一致率≧90%
(シミックホールディングス(株)社内データ)
◆迅速測定が可能であることから、急性腎障害が確立されていない、敗血症または多臓器不全等の患者に対し、治療転帰を含めた重症化リスクを判別することができ、血液浄化療法などの適応判断に利用できる可能性がある。
DATA
- 対 象
- CKD外来患者 106例、ICU入院患者 29例
- 方 法
- 上記症例に対し、尿中L-FABPの半定量スコアを判定。また、尿中L-FABPを測定した。その結果、尿中L-FABP値はスコアに応じ有意な増加を示した。
参考文献
[1] Nakamura, T. et al., Urinary excretion of liver-type fatty acid-binding protein in contrast medium-induced nephropathy. Am J Kidney Dis. 47(3), 2006. PubMed
保険算定上の主な対象と有用性
『中医協 総会(第194回)議事次第 臨床検査の保険適用について』
より引用
測定内容 | 尿中L-FABPの測定(尿細管機能障害を伴う腎疾患の診断の補助) |
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主な対象 | 急性腎障害が確立されていない、薬剤性腎障害、敗血症または多臓器不全等の患者 |
有用性 | 急性腎障害が確立されていない、敗血症または多臓器不全等の患者に対し、治療転機を含めた重症化リスクを判別することで、血液浄化療法などの適応判断に利用可能性がある。 |
留意事項 | 原則として3カ月に1回限りの算定であるが、医学的な必要からそれ以上算定する場合 「(造影剤投与前後の)尿細管障害を連続してモニタリングする必要があるため」 「急性腎障害の重症化リスクの判定」など詳細な理由を診療報酬明細書の摘要欄へご記入下さい。 |